
1998年、私達は抑制廃止福岡宣言を発表しました。それまで認知症患者への身体拘束は“やむを得ないもの”という医療者側の意識が存在していましたが、東京にある上川病院の吉岡充先生や当協会の有吉通泰先生が進めてきた抑制廃止の運動が一気に広がっていきました。患者の自由を奪い、抑制するのではなく、お一人お一人の行動、お気持ちをしっかりと観察し、生活のリズムを把握し、それをスタッフ間で共有することで抑制をしなくてもすむという考えが全国的に拡がり、2000年にスタートした介護保険制度では『原則抑制廃止』という概念が盛り込まれるに至ったのです。
当協会は今でも看護師による「抑制廃止とケアの質を高める会」で10年以上に渡り、抑制廃止を続けるためのケアの工夫を重ね、そのノウハウを広めるという努力を続けています。
我が国、日本の高齢化率は平成17年には20%を越え、平成25年には25%、4人に一人が高齢者となります。
今後も団塊の世代が本格的に高齢者の仲間入りをしていきますのでその動きはかなりの期間続くでしょう。
しかし、面倒をみる子供世代がいないなか、介護疲れによる尊属殺人や自殺、老老介護が多い山間部では救急搬送されるのは被介護者でなく介護者が多いという大変な状況を聞かされます。在宅ケアという選択が出来ない高齢者のために療養病床は在宅ケアと連携し、バックアップしていくという役割が求められています。
療養病床はこれまでよりも、これからこそが社会に必要な資源であると確信しております。 医療に携わる皆様、また高齢者を抱えるご家族、高齢者ご本人の皆様には是非、このことをご理解いただき、ご支援を賜りたいと存じます。
平成21年12月
福岡県療養病床協会
会長 原 寛